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カテゴリ:映画
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    [ 2011-01-11 01:20 ]
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「インセプション」
今頃ですが、「インセプション」を見てきた。

家のAV機器があまりにも充実していない事もあり、基本的には「映画は映画館で」の私は、見逃してしまったらそのままになる事が多く、特にこの様な映画の場合、映像や音響の質に作品に対する感想が影響される事があるのでレンタルはもう何年もしていない。

1/8から1/14まで、我が愛する(笑)早稲田松竹で「Dr.パルナサスの鏡」と共に上映中という事で、いそいそと出かけた。
しかも、最終回の上映なので割安という、なんともありがたい状況で。


前置きが長くなってしまった。
えっと、なんとなくダラっと書くので、ネタバレすると思われ、もしも未見の方がいらっしゃったら、ご注意を。


他人の夢に侵入して、その人物の潜在意識にある情報を抜き取る産業スパイのコブ。
その犯罪に関わる事なのか、妻殺しの容疑をかけられ指名手配されている。
その為に自宅に帰り子供達に合う事すら出来ない。
その彼に、情報を植え付ける(インセプション)仕事の依頼が舞い込む。
”インセプションは危険”と依頼を拒むコブも、逃げ回っている生活から抜け出し、子供の待つ”家に帰る"ことが出来るという事を条件に、ついに首を縦に振る。

実体は別の場所にある、意識だけの世界というと、「マトリックス」がまず浮かぶ。
「マトリックス」では、人間が構築した大きな機械の中に広がる世界に意識だけが入るような感じだったが、この映画では全員が夢を見ながら世界を構築していく。
夢への侵入の為には世界を構築する「設計士」がいるが、他の人物の意識の介入もあり、全てが思い通りに行く訳ではない。
スパイが横行する時代の為、企業の重要ポストにある者は、夢へ侵入された場合に備えての訓練を受けており、時には敵と戦わねばならない。
コブは死んだ妻に対しての意識が強く、夢の中に度々妻モルが現れ邪魔をし始める。

侵入の間、現実と夢では時間の流れが違う(乱暴に言えば「浦島太郎」)事によって、できる事の幅がグンと広がりアクションシーンが充実し、ラストのあのシーンが俄然面白くなっていると思う。

夢から覚める為には、夢の中で死ねばいい、と最初に示される。
観客もそう思い込むが、それでは戻れない場合もあるのが分かってくる。
夢から覚める為には、その世界で眠らない者が1人必要で、現実世界ではコブのチーム6人と標的のロバート、そして依頼主サイトーの計8人がいて、7人が眠り、客室乗務員になっている仲間が起きてい状況に対処している。
一層目の夢では「調合師」ユスフが起きていて6人が眠っている。
次の層ではアーサーが起きている。
次ではイームス、そしてアリアドネと。
それぞれがそれぞれの層で目覚める為の仕事を黙々とこなす。

最後、無重力の中で"きたぞ!"と思うのは、それまでに、色々なところで上の層で何が起きているのか気づくシーンがあり、見ているこちらにも、夢の深さを感じさせられたりからなのかと。
ユスフだけが起きている最初の層の夢。
眠る全員が音楽を聞かされている。それがピアフの歌なのだが、実はこれ、回転数を変えてスローにしたものを、それまでに観客は、映画の所々で聞いているのだそうだ。
この歌が目覚めの合図になっている。
映画の中では短く流れるだけだが、エンドロールでじっくりと聞く事ができる。
聞きながら思った事。それは、"この曲で目覚めるなら、私も、この曲でこの映画の世界から目覚めるんだな"

侵入の失敗、サイトーとの対面、依頼、仲間集め、若い設計士に対する説明、、、と、順を追って段々とその世界に入っていく観客。
観客に対するインセプション。そこからの覚醒。

ストーリーとしては、コブの意識からモルの影響をなくせるかとか、ロバートにインセプションした結果、父子間の誤解が解けたりと、ちょっといい話なのだが、私はそれは、どちらかというとどうでもよくて、世界の構築、脚本と映像化に俄然、関心が。
そして、レオ様の影がうすく感じる程にアーサー、モルの印象が強く、イームス、アリアドネ、ロバートも良く、その演技あってこそのあの世界であるというのを強く感じた。
もう、あの無重力シーン、エンドレスで見たいくらい、アーサーの仕事振りに痺れた。

あの無重力シーンが、映画の核で、あれをやる為にストーリーがあるのでは?と思った程、あのシーンは素晴らしい。
見られて良かった。




-----ここからは、すでにつぷやいたりもした余談。

キリアン・マーフィやマイケル・ケインなど、クリストファー・ノーラン監督のバットマンシリーズでお馴染みの俳優さんにも"おっ"と思ったのだが、なにより、トム・ベレンジャーを久々に見て"おぉ〜っ"となった。
「Someone to watch over me」が懐かしい。

エンドロールに、ルーカス・ハースの名前が。
全く気づかなかったけど、最初にでてきた裏切った仲間だよね?

アーサー役の俳優、何かみた事あるような?と気になってwikiったら、なんと、子役で「リバー・ランズ・スルー・イット」に出ていたと。
他にもみた事のある映画もあった。

マリオン・コティヤール、さすがの上手さ。

「ペンローズの階段」が出て来るのだが、エッシャー好きな方、いかがでしょうか?


ラストシーン。
私は、現実に戻ったと思う。
理由は、回る音が変わったから。軸が少しずれたように見えたから。
マイケル・ケインが虚構なんて!!と思うから(笑)










by marcotabi | 2011-01-11 01:20 | 映画 | Trackback | Comments(0)
「シングルマン」
ジュリアン・ムーアが好きなので、チラシを見かけた時に気になっていた作品。
でもなんとなく忘れかけていた頃に、"見に行きませんか?"とお誘いがあり、行ってきた。


水中を沈むような映像。
見ているこちらの息も苦しくなってきた頃、より息の詰まるモノクロ(かすかな色味)の世界が広がる。
身体中から生気が失われていくような白い世界。
画面全体にそこはかとなく漂う緊張感。それは、監督であるトム・フォードの美意識が貫かれているからなのだろうと、冒頭からその世界にひきこまれる。

かけがえのない愛する人、長年のパートナーを失った大学教授のジョージ。
ジョージはとにかく隙の無い人物。(トム・フォード自身がきっとデザインしているであろう衣装が素晴らしく、コリン・ファースの、これぞイギリス紳士!という佇まいが、ジョージの人物像に深さと説得力を与えている)
パートナーの死を受け入れられずに生きる希望を見出せない。
それでも、"皆の知るジョージ"になるべく髪を整え、完璧なコーディネートで全身を包み込み授業へと向かう。
死を覚悟した彼の最後の一日。

ここで思い浮かんだのが「鬼火」
死のうとする男が最後の日に知人、友人に会い、人と会っているのに自分の内側へ内側へと向かっていく、そんな映画の記憶。


この「シングルマン」のジョージは人に会う毎に気持ちが少しだけ外側へ向かっていく。
近づいてきた若い男性の何気ない身の上話に耳を傾けたり。
親しみを隠そうとしない生徒との触れ合い。

間に挿入される恋人ジムとの出会い、思い出、死の知らせ。
亡くなった恋人に一目すら会わせてもらえない哀しみ。
拭えない孤独感。
それでもかすかな希望が見えてきた時に彼を待ち受けるもの。


実際の1960年代のアメリカがどんな様子だったのかは知らないけれど、ガラス張りの家で生活をする同性愛カップルはどう受け止められていたのだろう。

コリン・ファースは寡黙に、しかし、その動き、表情で雄弁に何かを語る。
愛すること、愛されること。
他人との関係を築くこと。

正直、映画冒頭のコリン・ファースを見た時の印象は、"うわっ、年取ったなぁ"でしたが、「アナザー・カントリー」から考えたら、それはそうだよね、と。
年を重ねてさらに魅力を増す俳優。

ジュリアン・ムーアもジョージの親友チャーリーを魅力的に演じていた。
メイクをするシーンには釘付けになった。
同行した知人は"あのダブルラインどうやってひいてるんだろ"と。
時代を感じるメイク、衣装、美術なのに古さを感じないのは、やはりトム・フォードの力なのだろう。

最初に感じたピンと張り詰めた空気をずっと感じたまま、ずっ
と"孤独"について考えていた。
静かで熱くて孤独な美しい映画。



[追記]学生のケニー演じたニコラス・ホルトって、「アバウト・ア・ボーイ」のあの少年だそう!
あんなにぽっちゃりくんが、美青年に成長。ビックリ。







by marcotabi | 2010-10-26 01:10 | 映画 | Trackback | Comments(0)
「大奥」 「悪人」 「瞳の奥の秘密」
行った展覧会の感想もたくさん棚上げ状態。芝居にもあまり行っていないですし。
そんな中、あまり間を置かずに映画を観に行っているので、つらつらと感想を書いてみたいと思います。

まずは「大奥」。
原作漫画のファンなので、最初に映画化の話を聞いた時には、どうやって?誰が?と思ったものです。
まだ完結していない漫画、しかも時代劇で長い年月の経過があります。そのうえ設定がSF。
どうするのかと思っていたら、映画化されるのは1巻だけ。
つまり、水野・吉宗編のみ。
それなら納得です。
キャストについては、まぁ、普通(←えらそう、、)、と思っていました。
ただ、和久井映見さんだけはイメージ通り!そしてその期待は裏切られることなく、スクリーンの中に久通がいました。
この映画、男女逆転大奥ということで、男性に焦点をあてた宣伝をし過ぎではないでしょうか?
肝は女性だと思うのですが。
実際、吉宗、久通、越前を演じた女優陣が良かったのです。
政を成しながら、女性としての役目も果たさなければならない、そんな強さ、たおやかさがありました。(男性では三郎左がよかった)

これは、先に観た友人もいっていたことなのですが、とにかく演出がTVサイズなのです。
「のだめ」が映画になったら全然面白くなかったのと同じです。
江戸城とか、とってつけたような映像で笑っちゃったほどです。
大きく見せようとして、自ら小ささを晒してしまったような。

ストーリーは"割と"原作に忠実。
水野と鶴岡の対決は、演出が完コピかと思う程。

それにしてもですね、水野が垣添より小柄っていうのがどうにも納得いかないわけですよ。
演技が割に良いだけに、、、。

友人もいってましたが、"レディースデーなら"いいのでは?
またはTBSで放映されるのを待てばいいと思います。


続いて「悪人」

もともと吉田修一さんの小説が好きなので、原作は読んでいました。
吉田さんの小説はいくつか映像化されているので、映画化の話にもさほど驚きはありませんでしたが、期待もありませんでした。
以前ドラマ化された小説は、まるで別物に作り変えられていたりしたもので。
しかし今回は、吉田さんご自身が脚本で参加しているというので安心して観に行きました。

なぜ彼は人を殺したのか?
なぜ彼女は殺されなければならなかったのか?
なぜ彼女は彼と一緒にいたかったのか?
悪人とは誰の事なのか?

深津絵里さんも、妻夫木聡くんももちろん良かったです。
しかし何と言っても、満島ひかりちゃんと柄本明さんが素晴らしかったなぁ。
殺された娘との対面で、身体に掛けられた布から足先だけが出ているのを目に止めて、そっと掛け直すシーンや、雨の中の幽霊のシーンは、涙がでました。

大切な人がいない人間が多すぎる

このセリフは心にささります。

小説には、事件によって少なからず影響を受ける人たち(映画には登場しない人物)も描かれています。
その中のひとり、金子美保という女性にインスピレーションを得て、アーティストの束芋さんが、個展「断面の世代」に展示していたのが、『油断髪』という作品です。
新聞連載時の束芋さんによる挿絵をまとめた「惡人」という文庫もあります。


最後に、「瞳の奥の秘密」

25年前の事件に囚われている男性。
当時担当した、凄惨な殺人事件。
定年で退官したのを機にその事件に関する小説を書いている。
事件に関わった懐かしい人を訪ねていくうちにある事実に行き当たる。
過去と現在を行き来し、言葉の断片、ちょっとした仕草、視線が雄弁に語り、全てがカチッと繋がる、ミステリーの様な話です。
しかし、謎を解くというよりも、過去から解放されて未来を考えられるようになる主人公の変化が大切な気がする映画です。

先に観ていた友人は、ブエノスアイレスという地名が出るまでスペイン映画だと思って見ていたらしいのですが、確かにそんな雰囲気の映画かもしれないです。まぁ、どちらもスペイン語ですしね。

「パンズ・ラビリンス」の虚と実を行き来するような感じとか。
あと、個人的には「題名のない子守唄」に感じた渋い魅力を感じました。


実は昨日、「シングルマン」にいく予定だったのですが、ご一緒する方の都合がつかず、来週に延期です。観たら感想を書きたいです。

そうそう、「小さな村の小さなダンサー」も観たのですが、この世界情勢の中、気持ちがざわざわしていて、なかなか整理がつきません。
ただ、バレエシーンがたくさんあってそれは素直に楽しめました。








by marcotabi | 2010-10-15 00:22 | 映画 | Trackback | Comments(0)
「月に囚われた男」
ダンカン・ジョーンズの初監督作品、「月に囚われた男」を見てきました。
上映館が限られていてなかなか見に行けませんでしたが、終了間際に行けて良かったです。

ずいぶん前に、友人からの推薦メールがきたので、チラシを入手してあらすじを読んだ時には、"ソラリスみたいな感じ?"と思っていましたが、違いました。
ソラリスが宇宙と人間の関係性の話だとすると、この映画は、人間とは?に踏み込んだもののような気がします。


地球のエネルギー源が枯渇し、月から採掘をする為に派遣された男、サム。
3年の滞在期限が終わりに近づいた時、アクシデントにより彼はある事に気付きます。
ここには他の誰かがいるのではないか?
はっきり言ってしまえば"いる"のですが、それは誰なのか?

3年間、月にたったひとり。
月に採掘基地を作る技術があるのに地球との直接の通信が出来ないのを不思議に思いながらも、サムと一緒に基地の謎を探っていく気持ちになりました。

彼が、募る孤独に耐えている理由。そもそも月に来る事を決めたのは何故なのか?
段々と彼という人間が分かりかけた時にアクシデントが起こります。
目覚めた彼が今までの彼と違う事に、見ている私は戸惑いました。
しばらくすると謎は解けますが、そこからが、"人間とは?"という問いの始まりです。

基本、話は基地の中だけで展開し、登場人物はほぼ1人。相棒のロボットが一台。
まるでロボットに喜怒哀楽があるかのように、前面の画面に映るスマイルマークが時には困った顔をしたりするのが愛らしい。
このロボットがかなりいい味を出していて、エンドロールで確認したら、声をケビン・スペイシーが演っていました。納得。
サムを演じたサム・ロックウェル、彼も複雑な心情を静かに素晴らしく演じています。
(最後のあのシーンとか、うるっとしちゃいます)

最後には、"生きる、生き延びる"という人間の本能はエゴなのかしら?という問いが頭に浮かんできました。これは答えの出ない問題だけれど。

ダンカン・ジョーンズ監督の今後にも期待です。
(彼、デビッド・ボウイの息子なのだそうですね)







by marcotabi | 2010-06-03 07:30 | 映画 | Trackback | Comments(0)
「オーケストラ」
予告編を見て気になっていた映画、「オーケストラ」を見てきました。

今は劇場の清掃員をやっている元指揮者、アンドレイ。
音楽への思い絶ち難く、リハーサルを覗いては怒られる日々。
主のいない支配人室で、偶然にも出演依頼のFAXが送られてきたのを見てあることを思いつきます。
そのFAXを持ち帰り、勝手に出演交渉を始めてしまいます。
とはいっても、彼は今や清掃員。どうやってパリ公演を実現させるのでしょうか?
彼のオーケストラは存在しません。
元団員達に声をかけるものの、皆も今では音楽から離れた生活を送っているのです。
オーケストラ率いてパリ公演を実現させる、その過程が、そんなの都合良すぎじゃない?と
予定調和に思えたりもするのですが、それぞれの思惑の違いや勘違い、頑なまでの信念が、なんだか可笑しくて許せちゃうのです。

最初は、なんだかだらしない人に見えている指揮者アンドレイ。
話が進むにつれ、少しずつ分かってくる彼の過去。
ソ連時代に音楽家として生きることの苦悩。
オーケストラの元団員達の事情。

パリにはたどり着いたものの窮地に陥ってしまう彼を救うもの。
それは音楽の力。
音楽に魂を捧げた演奏者の心が、まさに響き合い、それぞれを過去から解放し、また、過去を取り戻し、先へと進めてくれる。
それらが、コンサートのシーンで音楽にのって展開されるので、静かにじわじわと身体に心に響いてくるのです。
最初にバイオリンの音が鳴った瞬間の、あのなんとも云えない気持ち。
あのコンサートシーンでは音楽の流れに気持ちが寄り添っていました。

曲のおいしいとこ取りをして派手に見せる(劇的に盛り上げる)ことは出来ると思います。
けれど、このシーンでは、もっとじっくりと音楽を聞かせてくれます。
ただひとりの人物の思いを見せるのではなく、たくさんの人の思いが深いところで響き合うコンサートシーンになっています。
(同じ曲でもこうも違う映像になるのか!と、某ドラマと比べてしまっていました)
泣くところまではいきませんでしたが、久しぶりにウルッとくる、気持ちを動かされる映画でした。


・・・上映館数も少なく、かなり混んでいます。


by marcotabi | 2010-05-31 23:30 | 映画 | Trackback | Comments(0)
『トリコロール 青の愛』
『トリコロール 青の愛』と『トリコロール 白の愛』を見てきました。

キェシロフスキの作品は今までも何度か特集上映されていて、『デカローグ』や『ふたりのベロニカ』は数回見ているのですが、何故かトリコロール三部作は公開時に見たきりでした。
当時、『ふたりのベロニカ』が大好きだったこともあり、イレーヌ・ジャコブの可憐さにまいっていた私は、正直、ジュリエット・ビノシュが苦手でした。

しかし、十数年経て、今この映画を見て、”ごめん、ビノシュ。嫌いとか言って、ホントにゴメン”と、申し訳ない気持になりました。
印象ががらっと変わったんですよね。
当時の私は何にも分かってなかったんだなぁ、と。

自分の運転時、車の異常で事故が起き、夫と娘を同時に失った女。
薬を大量に飲んで死のうとしても死ねず(そもそも、頬張った薬を飲み込めない)、夫(有名な作曲家)の制作中の楽譜も破棄し、家も売り、何も無い状況に自分を置いている。

それでも、ずっと彼女の身体に響き続ける音楽。

生活のどこかで不意に響いてくる音。

最初にこの映画を見たときは、彼女が家族を失った悲しい状況を、観客にドラマチックな物に見せるための音楽だと思っていたのが大間違い。

彼女の中で生まれ、楽譜に起こされるのを待っている音楽。
夫に助言を与え制作の手助けをしていた、彼女の曲。

”いい人”である彼女の自立の話だったんだ!この映画!と、今さら??、何見てたの、当時??と、見る目のない自分を反省した次第です。

この映画でのジュリエット・ビノシュは素晴らしいです。
孤独を感じ、ひとりになろうとする時にも親しい人に最大限の愛情を示し、自分に想いをよせる男にはわざと酷い態度を取る。
娼婦に慰められ、慰め。
自由のために前進と後退を繰り返し、最後の一歩を大きく踏み出す。
一見感じる、その無表情の奥に、複雑に揺れる(時々泳ぐ青いプールの水面の様にゆらゆらと)心情がちらちらと垣間見れて、グッと胸を掴まれるのです。

女性には特にお勧めの1本。
21日(金)まで、高田馬場にある早稲田松竹で上映しています。
『トリコロール青の愛』が最終回の上映なので、この1本だけ見るなら¥800です。

そして、5/22からは『トリコロール赤の愛』と『ふたりのベロニカ』の2本立てが始まります!
ラヴ!早稲田松竹!であります。


『ふたりのベロニカ』は版権の問題とかで、DVDのキェシロフスキBOXにも入っていなかったのですが、そのあたりはどうなっているのでしょうか?DVDにはならないのでしょうか?

by marcotabi | 2010-05-17 20:49 | 映画 | Trackback | Comments(2)
「抱擁のかけら」「Dr.パルナサスの鏡」など、最近見た映画
しばらく更新していなかったら、心配されてしまいました(笑)
Twitterにいるよー!と教えて、とりあえず安心してもらい、せっかくなので、最近見た映画の感想でも書いて、今月の締めくくりを。

「抱擁のかけら」
全部とまではいかないのですが、「セクシリア」「ハイヒール」「KIKA」など、割と以前から見ていて、アルモドバルは好きな監督の一人です。
特に「オール・アバウト・マイ・マザー」以降の作品には大いに心動かされ続けています。
この「抱擁のかけら」は、千切れた抱擁の断片、かけらを繋ぎ直す物語です。
主人公の映画監督は、最後なんとしても映画を完成させようと力を尽くします。
見終わって最も印象に残ったのはその事でした。
昔のアルモドバル作品ほど、色彩は強烈ではないけれど、赤、赤、赤、とても赤の印象が強い映画です。
ペネロペは美しいのはもちろんなのだけど、女としての経験が背中に感じられる女優になっていました。
赤いワンピースの背中が悲しい。
抱擁のシーンも哀しい。
突然、愛に終わりがきてせつない気持ちになるのですが、しかし、見終わるとあたたかな気持ちに包まれていました。
かなり限られた映画館で限られた上映回数になっていますが、アルモドバルの愛と美意識に溢れた映画、かなりお薦めです。


「Dr.パルナサスの鏡」
テリー・ギリアムは「未来世紀ブラジル」が、DVDを持っている程好きなのだけれど、後は「ブラザーズグリム」くらいしか見ていないような。
見ていてまず思ったのは、ヒースがかなりちゃんと出ている事。イマジナリウム(鏡の中のこと)の外側はヒースが演じているのだけど、きちんと話が繋がるくらいにはなっているので、ヒースの出演シーンはかなり撮影が進んでいたのだなぁ、と。
それで、代役の三人が鏡の中の彼を演じる事で映画が成り立ったのだな、と。
パルナサスの娘を演じるリリー・コールは、天は二物も三物も与える良い見本のごとく、美しいだけでなく表現の才能もあるよう。
他の俳優も皆魅力的です。
個人的には、久しぶりに映画で見たトム・ウェイツがますま魅力を増していました。
もともとCDなら何枚も持っている程、彼の声、音楽は好きなのですが。

トム演じるニックは悪魔なんだけど、パルナサスとの賭けをして楽しんでいる大人子どもみたい。
それはパルナサスも同じで、娘がいなくなるのを恐れている割に賭けをしちゃったり。
そもそもの最初の取り引きが今ひとつ理解できなかったのですが。
正直な感想として、楽しい映画ではあったけど全体的な甘さにがっかり。
特にラストシーン。
鏡の外と内、人間の欲、傲慢など、もっと皮肉を含んだ話になっていたら、より楽しさやバカバカしさがいきたのではないかと思わずにいられません。


「50歳の恋愛白書」
これ、邦題がイヤで敬遠していたのですが、内容を読んだら面白そうと思って行ってきました。
現在と回想、それぞれのシーンの重なり方が自然で、すうっと心を添わせることができました。
確かに恋愛の話しでもあるけれど、50歳を超えた女性のこれまでと、これからの人生の話でしたよ。
過去を演じた女優さん、すごく良かった。
久しぶりにキアヌ・リーブスも見られたし。


「シャネル&ストラヴィンスキー」
「春の祭典」初演のシーンと、衣装、美術はそれなりに楽しんだけれど、とても退屈な映画でした。
コルセットを切ったり、お針子の賃上げ要求や、香水作りなどのシャネルに関するエピソードが少し入れ込まれたり、ディアギレフの面接シーンなどが入っていて、シャネルの人生がチラッと垣間見られるのには、なるほどねぇとは思ったのですが。
バレエシーンやアーティスト同士が刺激し合う話を期待していったので、あれ?あれれ?と。
あれで、どう刺激しあったのか?はてな。
奥さんの方が彼の創作に影響があったのではないかと。
それにしても、シャネルのデザインは偉大です。
最後の、年老いたシャネル、後姿が!写真でしか見たことがないけど、シャネルそのもの。


ル・シネマで見た予告編が「クララ・シューマン」「ドン・ジョバンニ」「オーケストラ」「モリエール」、筋が通った感じですね。
「ドン・ジョバンニ」が面白そうでした。







by marcotabi | 2010-02-28 23:50 | 映画 | Trackback | Comments(2)
TOHOからのお年玉
今年受け取った年賀状。
お年玉くじの末尾が「1」か「4」であれば、TOHOの映画館で2月いっぱい、1000円で映画が見られる!
という事で、いくつか見たので、さくっと感想を(またblog更新しないまま2週間経ってしまった)

まずは「ゴールデンスランバー」
原作は伊坂幸太郎の小説。
"幸せだったあの頃"を共有した大学時代の友人たちが、首相暗殺犯にしたてあげられてしまった青柳という男性を何とかして救おうとする話。
原作では、脇役にもエピソードがあるのだが、その辺りは映画では端折られている(その辺りの話はワンセグかなんかでやっているらしいがあるのだが)

原作ほどのハラハラドキドキ感は無く、権力や、監視社会の怖さはあまり感じられないのだけど、友人や家族たちとの関係の描き方は映画の方がくっきりとしていた気がした。
"ゴールデンスランバー"という幸せなひとときに重きを置いて映画にしたんだろうな。

青柳の大学時代の恋人は竹内結子が演じていますが、その娘役の子がかなり良い味出していて良かったです。母娘の阿吽の呼吸でピンチを脱したりして。表情がなんとも。
可愛い〜って感じの顔じゃないとこがまた良いのです。
あとは、濱田岳くんが!いい!
ますます好きになっちゃった。
通り魔なんだけど、あの彼自身の信念に従っている感じが。
イメージぴったり!


「ラブリーボーン」
ピーター・ジャクソンの新作。
私にとってピーター・ジャクソンは「ロード・オブ・ザ・リング」の監督というよりは「乙女の祈り」の監督。
可愛くて悲しい話。
天国の様子が刻々と変わるのは、少女の感情に影響されるからなのかしら?

最後にやり残した事をやるために霊感の強いクラスメイトの体を借りるところでは、そっちを選んだのか!と。
恨みを抱えるよりも、将来を築いていくことを選んだ家族。

ピーターが、ちらっと出ています。
ヒッチコックか!?
痩せていてびっくりです。
友人から聞いたのですが、書店のシーンでは、本がちゃっかり「ロード〜」だったらしいです。
私は気づきませんでしたが。


「抱擁のかけら」と迷って見たのは「インビクタス」

イーストウッドゆるくなっちゃったのかなぁ〜。
今ひとつでした。
確かに良い話ですが、肝心なラグビーシーンが迫力無いんです。
アップが多いのもげんなりしちゃった要因。
冒頭のニュース映像、実際のニュース映像ではなくてモーガン・フリーマンがちゃんと演じているのに驚きでした。
そして、エンドロールには、実際の南ア代表選手の写真が映されています。


今度こそ「抱擁のかけら」を見たいです。
アルモドバル好きなので。

そして、賛否いろいろの「Dr.パルナサスの鏡」を。


by marcotabi | 2010-02-08 23:57 | 映画 | Trackback | Comments(0)
「パリ オペラ座のすべて」
上映が始まってからずっと、混雑を敬遠していたら、あらあら、今週末で終了となるので、やっと行ってきました。

今日はサービスデーでしたが、開場時では、まだ数席空いていたようでした。


私はドキュメンタリー好きですが、過剰なナレーションはひいてしまう質です。
動物の擬人化ナレーションとか苦手。

この映画、ナレーションが一切無い!
潔いというかなんというか。
テレビと違って、映画館に自らお金払って見に行くのですから、皆さんパリオペラ座に関してある程度の知識があって見にくる、という前提があってこそでしょうかね。

それでも内容はとてもわかりやすい。
私はバレエには詳しくないので、名前なんかはさっぱりわからないのですが、それでも、パリオペラ座がどうやって成り立っているのかはよくわかりました。
経営する人、創作する人、支える数多くの職員。
フランスの文化予算の7割が充てられるというパリオペラ座。
そのうちのどれだけが、このバレエカンパニーに充てられるのでしょう?
クラシックとコンテンポラリーがパリオペラ座バレエの二本柱だと聞いてはいたのですが、そのあたりがとてもよくわかる映画でした。

裏方好きな私は、鍋で染物する女性や動物の被り物を作る女性の場面も、清掃する姿も楽しみましたが、やはりなんといってもダンサーや振付家たちがすごい!
芸術監督ももちろん。
基本あってのコンテンポラリー!だというのが実感できます。
自分の体が自由に動かせなければ新しい表現はできない。
あたりまえだけど忘れてしまいがちなことがよぉく分かって、わが身を振り返ったりして(どんな事にもいえるな、って)

コンテンポラリーよかったなぁ。
なんでしょうか、あの肩や背中の動きや脚の高さは!
そして、表現力。
見てみたくなりました。

バレエに詳しい方ならもっと楽しめる映画だと思いますが、私みたいに、知識がなくても充分楽しめると思います。
長く感じなかったですし。
街の音も、定点観測のような俯瞰の景色も素敵です。

それにしても・・・・あの地下の水は何なのだろう?
魚が泳いでいたし。


by marcotabi | 2009-12-16 01:07 | 映画 | Trackback | Comments(2)
あ!
今日、「ブラッドワーク」やってたのかぁ~
最初から見たかったなぁ。
これも映画館でみたな。地味に公開されていたんだよね。

イーストウッドはかっこいいなぁ~
来年公開の監督作『インビクタス/負けざる者たち』も楽しみ!
南アのラグビーの話。
by marcotabi | 2009-12-02 22:02 | 映画 | Trackback | Comments(0)