岩井秀人作・演出、ハイバイ「て」を見てきました。
ハイハイからバイバイまで、つまり、人の生を扱う作品をお届けする劇
団、というわけですね。
私は、ハイバイ初見です。
岩井さんについては、ケラさんのブログで“いつか一緒にやると思う”と
書かれているのを読んだり、知人がブログで書いていた、子供対象のワー
クショップの様子を読んでいて、かなり興味を持っていました。
できれば、アフタートークのある日に行きたかったのですが、そう都合良
く行かないのが悲しい。
アフタートークのお相手は、野田秀樹氏、平田オリザ氏、本広克行氏、千
葉雅子氏、そして岩井さんのお母さま。
この芝居は、岩井さんがご自身の家族の話を元に書かれたそうですが、何
と言いますか、あの芝居を見た後にお母さまを迎えてのトーク、どんな様
子だったのでしょうか?
※※ストーリーには触れてませんが、まぁ、ネタバレですかね※※
祖母の家で家族みんなが集まる。
祖母、父、母、兄、姉、妹、姉の夫、そして何故か友人まで。
ほのぼのとした団欒は欠片もない。
噴出しだすエゴ。
愛情も愛憎も。
血の繋がりという関係。
断ち切ろうとすれば多くの血の流れるやっかいなもの。
私はこういう家庭に育ったわけではないが、血のやっかいさは誰しも感じ
るのではないでしょうか。
状況のおかしさから始まり、場面を繰り返すことで物事を多面的に見せ
て、そして深いところへ導いていく、そんな芝居。
最初は、ありがちな説明の場面なのかと思っていたのですが違っていまし
た。
これ、場面の構成がとても良いのではないでしょうか。
特に、母親と長男は後半にいけばいくほど内面が垣間見えてきます。
姉の様に、自分の為の事を“みんなの為”という理屈で正当化する人はよ
くいるけど、ほんとにイライラするし、真っ正直にぶつかっていく事こそ
が正しいみたいな次男にもイライラさせられる。
大変なことの渦中にいるひとこそ、考え、耐え、多くは語らず自分の身の
丈の誠意を見せる。
だからこそ、母親と長男に感情を寄せてしまう。
最後に夫にぶつける、妻としての感情。
「動くな!そして、出てけ!」
これすごい台詞だと思います。
愛情と憎しみと恐れと嘲りと、いろんなものがこの言葉に集約されている
ようで、体にささりました。
ちょっと馬鹿馬鹿しいまでにおかしみのあるラストシーンは、グッと身に
迫ったある種の重さを完全には消すことなく、それでもほっとするような
感じがして良かったです。
初演では、母親の役を岩井さんが演じたそうですが、今回の再演では、猫
のホテルの菅原永二さんが演じてます。
菅原さん、前から好きだけど、今回もすごく好きでした。
ちょっとした視線とか。
あぁ、娘としてはそうなるよねぇ、という箇所がひとつあって、心に留め
ました。
私にとって、もっと見たいと、見る度に思う役者さんの一人です。
最近見た芝居はどれも家族に関わる話なので、そんなことねらって作るは
ずもなくて、こういうのが時代性ってものなのかしら?とまで思ったりし
て。
まあ、普遍的な事柄でもあるし。
岩井さんにはこれからも注目していきたいです。