数年ぶりに(十数年ぶりかも?)下高井戸シネマへ行った。
「白夜映画祭Ⅲ〜コメディ&メロドラマ〜恋と革命」と題して、ソ連映画13作品が上映されている。
ニキータ・ミハルコフ「愛の奴隷」や、ボリス・バルネット作品、説明に“モノクロの画面に海の青を映し出す鮮烈なミュージカル”と書かれている「青い青い海」という1935年の作品など、興味深いものはたくさんあったのだが、時間との相談をした結果、「ピロスマニ」1本に絞ることに。
前置きが長くなってしまったが、映画「ピロスマニ」、ひとことで言って素晴らしい作品!名画!
昨年、Bunkamuraザ・ミュージアムで開催された「ロシア・アヴァンギャルド」がピロスマニの絵との出会い。
こんな画家がいたのかという驚きと、この画家が「百万本のバラ」の詞のモデルになった人物だと知り二度びっくり。
そのピロスマニの人生を描いた映画。
都会へ出て働き、貯めたお金で商売を始めるが、純粋な性格ゆえか、内気な性格ゆえか,
プライドゆえか商売はうまくゆかず、旅(放浪)をしては描き、酒を飲み、描き…の日々。
プリミティブで、豊かで、愛にあふれた、そしてどこか威厳のある、ピロスマニの絵画そのものみたいな映画だった。
極端に少ない台詞ながら、それを補って余りあるほど雄弁に、画面が、映像そのものが語っていて、詩的な印象も。
タイトルバックから始まり、映画の中いたるところでピロスマニの絵を見ることもできる。
グルジアの風景、その中からうまれたピロスマニの絵画、40年前のものとは思えない美しい映画。
しかし、私を切なくさせた原因もまた、40年前とすこしも変わらず現代にもある現実。
何の為に生きるのか、恋愛とは何か、家族愛とは、愛を感じてはいても離れることを選んでしまう自分、個人を攻撃するマスコミ、多数意見に流れる意志、譲れないプライド……
実際にピロスマニがどんな人生を歩んだのか、それは箇条書きの経歴で知ることしかできないが、彼が描き続けた絵にこそ彼がいて、彼の人生があるのだなと思えた。
私の中にはいろんな感情や思考が巡った。
そんな映画を久しぶりに見た。
レイトショーでの公開は終了しているが、7/31〜8/2はアフタヌーンショーで見ることができるらしい。
「ロシア・アヴァンギャルド」でピロスマニが気になった方にはおすすめします。
より一層彼の絵を感じることができるはず。