IE9ピン留め
Feeling note
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ことしもお世話になりました。
数ヶ月ぶりの更新です。

大晦日なので少しだけ今年を振り返ってみたいと思います。

出不精で人見知りで、人付き合いの苦手な私が、こんなに人に会ったことはない!というくらい、沢山の方にお会いした一年でした。
もっといえば、この半年のことです。

美術好きの方々が、続々と「今年のベスト10」をブログにUPされています。
いつも楽しく、興味深く拝見している皆さんのブログですから一年のまとめになると、きっと素晴らしい充実ぶりでしょう。
そこで自分の、となると頭を抱えてしまいます。
まず、見ている展覧会が少ない。
手帳を見返しても、これだけか、と。
ですから、今年は一番印象に残っているものをひとつだけあげることにしたいと思います。

それは、横浜美術館で見た、高嶺格「とおくてよくみえない」です。
見えるものと見えないもの、私と他者、空間にただようただならぬ空気。
横浜での観劇の前にちょっと寄った、そんなゆるい頭をぐらんぐらん揺すられた展示でした。

震災後、とにかく極力意識を殺して仕事をしていたので、3月はとにかくぼんやりしていました。
今も、1、2月の記憶があいまいです。
この展覧会は2月末に見ていて、とても印象深いです。
震災後でいうと、ブリジストン美術館の常設で見たザオ・ウーキーで、ぱちっと覚醒した感がありました。

震災後、不安な上に、見えない悪意に(それも、いまになれば、その人たちの心には不安があるからなのだと思うのですが) 押しつぶされそうになっている時期に、Twitterを通して起こったあることに、そこに参加している方々同様に私もホッとしたし、助けられました。

自分の力は微々たるものだけれど、できる事があるのならこれからも頑張ろうと思った一年でした。

来年がどんな年になるのかはわからないけれど、肩肘張らずに生きたいなと、この大晦日に思っています。

今年お会いした皆様、ありがとうございました。
また来年もよろしくお願いいたします。

来年はもう少し、美術館にも劇場にも行きたいです。

よい年をお迎えください。













# by marcotabi | 2011-12-31 20:00 | 日々のこと | Trackback | Comments(0)
「カタリココ」@古書ほうろう

6月の末になりますが、千駄木の古書ほうろうで行われた「カタリココ」へ行ってきました。
カタリココとは作家である大竹昭子さんがゲストを招いて、その方の作品を“語る”
イベントです。2007年に始まって、今年で5年目を迎えるのですが、実は、最近まで知りませんでした。(昨年、多和田葉子さんの回に行きたかったのですが、、、、)
今までのゲストをみると、何故気付かなかった!と自分を責めたくなる豪華さでした。

さて、今回のゲストは、「俺俺」で今年の大江健三郎賞を受賞された星野智幸ん。
ご著書や、ブログは以前から拝読していますが、5月に行われた大江賞受賞記念の公開対談を聞いて、その話し方、話す事にすっかり心をひかれました。それで、間際になって時間が間に合いそうと思い、予約をしました。
ゲストに決まったのは昨年の事だったそうですが、3月に震災が起こり、今年のカタリココの第1回目のゲストが星野さんだったことに巡り合わせと言っていいのか分からないけれども、そのようなタイミングというものを感じたそうです。
話はまず、震災の時にどこで何をしていたのかから始まりました。
私も、震災発生から翌日の午前中までの自分の行動がそれこそ順を追って、鮮明に思い出されました。そして、それからひと月程の記憶、感覚がきわめてぼんやりしていることも。ただただ、日々の仕事を黙々とやっていただけの記憶しかないといってもいいくらい。
その間に、間接的ではあるけれども人の悪意の根深さに触れたり、逆に善意にも触れたり、自分の中の変化もあったりなどと、いろんな事を思いながらお話を聞いていました。
自分の足下が根本から揺らいだ今の日本で生きていくにはどうしていけばいいのか、とぼんやりと思いながらも、星野さんの“ざっくばらん”なお話にときおり笑ったりしながら、とても穏やかな2時間でした。

大竹さんは、写真に関する評論が多いそうで、ゲストに写真家の方もいらっしゃいます。(そう言えば、ドアノーに関するイベントもされてました)
次回7/23は穂村弘さんと長島有里枝さん。9/11は平田俊子さん。10/4は、10月から東京都写真美術館で展覧会が催される畠山直哉さん。11/11は平松洋子さん。
私は、時間さえ許せば7/23と10/4は行く予定です。



# by marcotabi | 2011-07-05 15:46 | Trackback | Comments(0)
あおひー個展「NIJIMASS」@ギャラリーアートポイント
BlogやTwitterを通してお世話になっている、あおひーさんの個展「NIJIMASS」が、銀座のギャラリー アート ポイントで開催中です。

今まで何度か作品を拝見する機会がありました。
何が写っているのか説明を聞くまでわからないくらい、ぼやけたモノクロの写真から、最近ではカラーの写真も撮られるようになり、今回は全てカラーの作品。

あおひーさんの写真は撮影後に加工をしないと知っているからこそ驚かされる色彩に出会います。
今回は特に一枚びっくりするものがありました。
そして、ぼんやりした景色やものに動きの感じられるものがあって、それらは私の好きな感じです。

ハッとするような色、動きを感じる色、リズムを感じる色、懐かしさを感じる色………。

日常の風景をどう切り取ってみるか。
そこに何がみえてくるか。
そんなことを思った展示でした。

21日までの開催。
あおひーさんの在廊されている日もあります。
(あおひーさんの名刺が、写真違いで5種類カウンターにあります。選ぶのが楽しいですよ)
http://blog.goo.ne.jp/aohie/




# by marcotabi | 2011-05-19 00:14 | Trackback | Comments(0)
三嶋りつ惠『あるべきようわ』@資生堂ギャラリー
資生堂ギャラリーでの三嶋りつ惠さんの展示を見てきました。
三嶋さんはヴェネツィアを拠点にクリスタルガラスの作品を制作している作家さん。
作品を拝見したことはあるのですが、個展へいくのは初めてのような気がします。

資生堂ギャラリーへ行くときにはいつも、階段の方の入り口を利用しています。
ゆっくりと空間に身を投じていく感覚が好きなのです。
自分の調子でテンポを変えることができるのも好きな要因です。

今回も階段から。
自動ドアを抜け、階段を下り始めた瞬間から、いつもとは空気が違う感じがします。
しばらく気付かなかったのですが、踊り場に着いたところで気付きました。
その空気を感じさせているものたちに。

階段を下りきった先に見えるもの。
息をのむような、神々しささえ感じさせる作品。
一瞬、どこから見たらいいのだろうか?と足を止めてしまったのだが、入ってもいいのかしら?と思うような、ちょっと張り詰めた空気が感じられました。
ある規律の中で動かされるような、でもちょっと面白い仕掛けでどきどきさせられるような不思議な気持ちになりました。
扉があったら開けたくなる、穴があったら除きたくなる、そんなふうにいつも展覧会を見ている私にはたまらない空間が待っています。
好奇心に従うと、とても美しいものを目にすることができます。

会場の構成を、建築家の青木淳氏が手掛けています。
青木氏の作った空間の中で、息をしているかのような作品たち。
個人的には、奥できちんと並んだ小さなものたちや、隙間の向こうがとても好きです。

是非、もう一度訪れたい展覧会です。
エレベーターで行くか、階段で行くか、それが悩みどころではありますが。
# by marcotabi | 2011-04-28 23:52 | アート | Trackback | Comments(0)
ここしばらくのこと
前回が1月11日なので、久しぶりの更新です。

このふた月半の間に見た芝居、映画、展覧会はいろいろあるのですが、そのひとつずつを言葉にする事が、なかなか出来ないでいました。
瞬発力のある感想としてはtwitterで、というのもあったりしましたが、言葉にし始めるとまとまりがつかなくなる、というのが一番の理由でした。
ここにきて、少しずつでも自分の中から外に出してみた方がいいだろうな、と思い始めたので、ざっと簡単に何を見たのかだけでも書いてみます。

2月末、横浜美術館で高嶺格「とおくてよくみえない」、KAATでアンドカンパニー、リミニプロトコルを見るという長い一日を過ごす。
「とおくてよくみえない」は、広島も見に行きたいと思っている程、感覚を刺激された展覧会でした。

翌週は、金曜の深夜にバスに乗り名古屋へ。
豊田市美術館でアイチジーン、ART in Office、柴田是真を堪能。
豊田市美術館は、とにかく心地良くすごしました。
美しいものを美しいと素直に感じる幸せを。

その後名古屋へ戻り、手塚愛子さんの個展を。
なんでしょうか、すごい力でぐいっと押されたような感じが胸にこみ上げてきました。

名古屋市美術館前の行列を見て、すごすごと移動。
県立美術館へ、と思ったら、おぉ、芸術劇場はここですか、とうろうろ見物。
「金閣寺」を上演していて、しかも当日券もあったので思い切って観る事に。
時間まで他の階でやっていた卒展などを見て過ごす。

「金閣寺」
マイム!と思って後で調べたら小野寺さんだったり、山川さんまさかの"金閣寺役"だったり。
三階席(バルコニー)だったけど、割と見やすく、きれいな劇場でした。

翌週、あの後から、時間の感覚がおかしくなる。

日曜の昼間仕事の後に、新美術館の「シュルレアリスム展」へ。
素直に作品を見ているつもりだったけれど、今思えば、かなりぼんやりしていたと思う。
思い出すものも多いが、記憶が繋がっていかないのも事実。
自分の認識以上にショックが大きかったのだと、今になってみて気付いた次第。
この日はこの後、ザ・ミュージアムへ。
こちらは2回目で、そして空いていたのでじっくり見ました。
「地理学者」にたった一人で向かいあえる程の館内の様子に、戸惑ったのも事実。
風景画、肖像画をゆっくり楽しみました。
「地理学者」のゴブラン織の青には魅入りました。

その翌週からは、いくつかギャラリーへ足を運んだり、現美でMOTアニュアル2011、汐留で白井晟一など。

映画は今週までに、ザ・ファイター、わたしを離さないで、SP、ゴッドファーザー、英国王のスピーチ、などを見ました。

楽しみながらも、たまにぼんやりしながら、時々ふらふらしながら過ごしていた私の意識が、確実に前向きになったのは(大げさにいえば覚醒したのは)、3月最後の日曜日に行ったブリジストン美術館でした。
名画の数々を見ていると、いつ見ても好きなもの、新たにいいなぁと感じるもの、段々と体の余計な力がぬけていき、気持ちもほぐれてきたように感じました。
そして、ザオ・ウーキー!
初めてあの展示室で見た時から好きな作品たちでしたが、この時は、自分の中の何かが明らかにかわりました。
パチッと目が開いた、とか、スイッチが入った、という感覚でした。
頭で考える事と心が感じる事が完全に繋がったというか、覚醒した思いでした。
それから、ぼんやりしている時間が減りました。今でも時々、はたと立ち止まってしまうことはあるのですが。


昨年くらいから映画熱がまた出てきて、時々映画館に行っています。
最近、twitterで「一日ひとつ、好きな映画」を呟いています。
その日に思い出したものを書いています。
いつ、どこで見たのかなどをぼんやり思い出す事もあります。
今は無い映画館も多いですが。


のんびり、少しずつ、またブログの更新頻度があがるようにしていきたいと思います。
おつき合いいただけたらうれしいです。
# by marcotabi | 2011-04-05 22:04 | 雑記 | Trackback | Comments(0)
「インセプション」
今頃ですが、「インセプション」を見てきた。

家のAV機器があまりにも充実していない事もあり、基本的には「映画は映画館で」の私は、見逃してしまったらそのままになる事が多く、特にこの様な映画の場合、映像や音響の質に作品に対する感想が影響される事があるのでレンタルはもう何年もしていない。

1/8から1/14まで、我が愛する(笑)早稲田松竹で「Dr.パルナサスの鏡」と共に上映中という事で、いそいそと出かけた。
しかも、最終回の上映なので割安という、なんともありがたい状況で。


前置きが長くなってしまった。
えっと、なんとなくダラっと書くので、ネタバレすると思われ、もしも未見の方がいらっしゃったら、ご注意を。


他人の夢に侵入して、その人物の潜在意識にある情報を抜き取る産業スパイのコブ。
その犯罪に関わる事なのか、妻殺しの容疑をかけられ指名手配されている。
その為に自宅に帰り子供達に合う事すら出来ない。
その彼に、情報を植え付ける(インセプション)仕事の依頼が舞い込む。
”インセプションは危険”と依頼を拒むコブも、逃げ回っている生活から抜け出し、子供の待つ”家に帰る"ことが出来るという事を条件に、ついに首を縦に振る。

実体は別の場所にある、意識だけの世界というと、「マトリックス」がまず浮かぶ。
「マトリックス」では、人間が構築した大きな機械の中に広がる世界に意識だけが入るような感じだったが、この映画では全員が夢を見ながら世界を構築していく。
夢への侵入の為には世界を構築する「設計士」がいるが、他の人物の意識の介入もあり、全てが思い通りに行く訳ではない。
スパイが横行する時代の為、企業の重要ポストにある者は、夢へ侵入された場合に備えての訓練を受けており、時には敵と戦わねばならない。
コブは死んだ妻に対しての意識が強く、夢の中に度々妻モルが現れ邪魔をし始める。

侵入の間、現実と夢では時間の流れが違う(乱暴に言えば「浦島太郎」)事によって、できる事の幅がグンと広がりアクションシーンが充実し、ラストのあのシーンが俄然面白くなっていると思う。

夢から覚める為には、夢の中で死ねばいい、と最初に示される。
観客もそう思い込むが、それでは戻れない場合もあるのが分かってくる。
夢から覚める為には、その世界で眠らない者が1人必要で、現実世界ではコブのチーム6人と標的のロバート、そして依頼主サイトーの計8人がいて、7人が眠り、客室乗務員になっている仲間が起きてい状況に対処している。
一層目の夢では「調合師」ユスフが起きていて6人が眠っている。
次の層ではアーサーが起きている。
次ではイームス、そしてアリアドネと。
それぞれがそれぞれの層で目覚める為の仕事を黙々とこなす。

最後、無重力の中で"きたぞ!"と思うのは、それまでに、色々なところで上の層で何が起きているのか気づくシーンがあり、見ているこちらにも、夢の深さを感じさせられたりからなのかと。
ユスフだけが起きている最初の層の夢。
眠る全員が音楽を聞かされている。それがピアフの歌なのだが、実はこれ、回転数を変えてスローにしたものを、それまでに観客は、映画の所々で聞いているのだそうだ。
この歌が目覚めの合図になっている。
映画の中では短く流れるだけだが、エンドロールでじっくりと聞く事ができる。
聞きながら思った事。それは、"この曲で目覚めるなら、私も、この曲でこの映画の世界から目覚めるんだな"

侵入の失敗、サイトーとの対面、依頼、仲間集め、若い設計士に対する説明、、、と、順を追って段々とその世界に入っていく観客。
観客に対するインセプション。そこからの覚醒。

ストーリーとしては、コブの意識からモルの影響をなくせるかとか、ロバートにインセプションした結果、父子間の誤解が解けたりと、ちょっといい話なのだが、私はそれは、どちらかというとどうでもよくて、世界の構築、脚本と映像化に俄然、関心が。
そして、レオ様の影がうすく感じる程にアーサー、モルの印象が強く、イームス、アリアドネ、ロバートも良く、その演技あってこそのあの世界であるというのを強く感じた。
もう、あの無重力シーン、エンドレスで見たいくらい、アーサーの仕事振りに痺れた。

あの無重力シーンが、映画の核で、あれをやる為にストーリーがあるのでは?と思った程、あのシーンは素晴らしい。
見られて良かった。




-----ここからは、すでにつぷやいたりもした余談。

キリアン・マーフィやマイケル・ケインなど、クリストファー・ノーラン監督のバットマンシリーズでお馴染みの俳優さんにも"おっ"と思ったのだが、なにより、トム・ベレンジャーを久々に見て"おぉ〜っ"となった。
「Someone to watch over me」が懐かしい。

エンドロールに、ルーカス・ハースの名前が。
全く気づかなかったけど、最初にでてきた裏切った仲間だよね?

アーサー役の俳優、何かみた事あるような?と気になってwikiったら、なんと、子役で「リバー・ランズ・スルー・イット」に出ていたと。
他にもみた事のある映画もあった。

マリオン・コティヤール、さすがの上手さ。

「ペンローズの階段」が出て来るのだが、エッシャー好きな方、いかがでしょうか?


ラストシーン。
私は、現実に戻ったと思う。
理由は、回る音が変わったから。軸が少しずれたように見えたから。
マイケル・ケインが虚構なんて!!と思うから(笑)










# by marcotabi | 2011-01-11 01:20 | 映画 | Trackback | Comments(0)
2010年 印象深い展覧会
気づけば大晦日。
二ヶ月更新が止まってしまっていたり。
仕事して、生活して、ブログも更新してと、活力あふれるブロガーの皆様には頭の下がる思いです。

感想を書かないでいるものも多いですし、ベスト10を選ぶには分母が少なすぎるので、今思い返して印象深い展覧会を順不同で挙げたいと思います。


◆オラファー・エリアソン@金沢21世紀美術館

霧にまみれたり、波動にゆらゆらしたり。自分の回りの現象に影響をうける内面。
記憶や感情とは別物の、体の反応。


◆「いのくまさん」@オペラシティアートギャラリー

とにかく楽しかった!良かった!
「宇宙都市 休日」は、私にとっては特別な作品。


◆長谷川りん二郎@平塚市美術館

初めて知った画家。
空気の色、湿度が印象的。
カマキリにも釘付けになりました。

◆田中一村@千葉市美術館

初めて実物を見ました。
此岸と彼岸。
最後には、波光を見ながら涙が出ました。


◆「誕生!中国文明」@東京国立博物館・平成館

分かんないから、と自分の無知を棚に上げてしまいがちで、普段ならこういう展示は苦手なはずなんですが、とても興味深く見ました。
展示方法や照明の力もあったのでしょうが。


◆「アントワープ王立美術館展」@オペラシティアートギャラリー
+「フランダースの光」@Bunkamuraザ・ミュージアム

この二つは、たまたま近い時期に見にいって感動が深かった展覧会。
光と影(陰)、ベルギーの空気を堪能した展覧会でした。変則的に、二つ合わせて。


◆「セーヌの流れに沿って」@ブリジストン美術館

まとめて、流れでみてじんわりと良かった展覧会。
モネの、あの並べ方は反則!というくらい素晴らしかった。
おおっ!と声をあげたほど。


それから、これは企画展ではないのですが、東京都現代美術館の常設展は、今年一年を通して、どれも見応えがあって良かったです。
山川冬樹「THE VOICE OVER」は何度もリピートしました。

来年は"観たら書く!"をモットーにしたいと思います。
年が明けたら、まずは、年内に行けなかった、小谷元彦と青騎士を観たいと思います。

大荒れの予報に反して晴れ間ものぞく天候。
実家でのんびり(ダラダラ)年を越します。
皆様もよいお年をお迎えください。








# by marcotabi | 2010-12-31 16:54 | アート | Trackback | Comments(0)
「シングルマン」
ジュリアン・ムーアが好きなので、チラシを見かけた時に気になっていた作品。
でもなんとなく忘れかけていた頃に、"見に行きませんか?"とお誘いがあり、行ってきた。


水中を沈むような映像。
見ているこちらの息も苦しくなってきた頃、より息の詰まるモノクロ(かすかな色味)の世界が広がる。
身体中から生気が失われていくような白い世界。
画面全体にそこはかとなく漂う緊張感。それは、監督であるトム・フォードの美意識が貫かれているからなのだろうと、冒頭からその世界にひきこまれる。

かけがえのない愛する人、長年のパートナーを失った大学教授のジョージ。
ジョージはとにかく隙の無い人物。(トム・フォード自身がきっとデザインしているであろう衣装が素晴らしく、コリン・ファースの、これぞイギリス紳士!という佇まいが、ジョージの人物像に深さと説得力を与えている)
パートナーの死を受け入れられずに生きる希望を見出せない。
それでも、"皆の知るジョージ"になるべく髪を整え、完璧なコーディネートで全身を包み込み授業へと向かう。
死を覚悟した彼の最後の一日。

ここで思い浮かんだのが「鬼火」
死のうとする男が最後の日に知人、友人に会い、人と会っているのに自分の内側へ内側へと向かっていく、そんな映画の記憶。


この「シングルマン」のジョージは人に会う毎に気持ちが少しだけ外側へ向かっていく。
近づいてきた若い男性の何気ない身の上話に耳を傾けたり。
親しみを隠そうとしない生徒との触れ合い。

間に挿入される恋人ジムとの出会い、思い出、死の知らせ。
亡くなった恋人に一目すら会わせてもらえない哀しみ。
拭えない孤独感。
それでもかすかな希望が見えてきた時に彼を待ち受けるもの。


実際の1960年代のアメリカがどんな様子だったのかは知らないけれど、ガラス張りの家で生活をする同性愛カップルはどう受け止められていたのだろう。

コリン・ファースは寡黙に、しかし、その動き、表情で雄弁に何かを語る。
愛すること、愛されること。
他人との関係を築くこと。

正直、映画冒頭のコリン・ファースを見た時の印象は、"うわっ、年取ったなぁ"でしたが、「アナザー・カントリー」から考えたら、それはそうだよね、と。
年を重ねてさらに魅力を増す俳優。

ジュリアン・ムーアもジョージの親友チャーリーを魅力的に演じていた。
メイクをするシーンには釘付けになった。
同行した知人は"あのダブルラインどうやってひいてるんだろ"と。
時代を感じるメイク、衣装、美術なのに古さを感じないのは、やはりトム・フォードの力なのだろう。

最初に感じたピンと張り詰めた空気をずっと感じたまま、ずっ
と"孤独"について考えていた。
静かで熱くて孤独な美しい映画。



[追記]学生のケニー演じたニコラス・ホルトって、「アバウト・ア・ボーイ」のあの少年だそう!
あんなにぽっちゃりくんが、美青年に成長。ビックリ。







# by marcotabi | 2010-10-26 01:10 | 映画 | Trackback | Comments(0)
「ジャパニーズ・スリーピング/ 世界でいちばん眠い場所」
先週末、遊園地再生事業団「ジャパニーズ・スリーピング / 世界でいちばん眠い場所」を観てきた。

宮沢章夫さんの舞台、初鑑賞。
そして、座・高円寺も初。
伊東豊雄建築内部に入るという楽しみも味わいつつ。


「これは、眠りに関するおはなしです」

劇場へと入ってまず、目に入る美術の美しさに見入ってしまった。
あとでリリースを見てみれば、ロマンチカの林巻子さんなのだった。
この美しさは無音の状態でも見たかった、などと思っていると、音量が上がり、怒涛のようなインタビューが始まる。
(音楽も美しくて良かったなぁ)

眠ること、眠らないこと。
眠いこと、眠りの場所。
眠るための手段のこと。

眠る姿の絵画や彫刻が映し出されたかと思うと、眠りにまつわる文章が披露され、インタビューが繰り返される。

ある記事が登場すると、私の中でカチッと音がした。
この舞台のチラシを初めて目にした時に、あるイメージというか、ある言葉が浮かんだのだけれど、まさにそれがあらわれたのだった。
それ以降は、それが度々思い起こされた。

森、車、男女の集団。
鈴木理策さんによる美しい写真。
その作り出すイメージ。

舞台上に映し出される映像も美しく、特に、インタビューに答える人々の姿が、表情が。

チャプターが行ったり来たりしているようで、一方向へ直進しているようで。

いろいろな事を感じつつも、やはり頭に浮かぶのはある言葉。
でも、眠り続けるのは、目覚めないということではないし。
考えがループする。

芝居の途中から、客席の何ヶ所かで似たような音がしていた。
それは、フリスク(或いはその類いのもの)をケースから振り出すカチカチッという音。
眠いですか?と、内心で問いながら。
普段、芝居中にほとんど聞くことの無い音だったので。

そして途中から何かメモを取り出す隣席の女性。しかも、物凄い欠伸を何度もしながら。

眠りに関するお話を見ながら、眠る事を考え、起きている事を考え、死を考え、生を感じる。
そんな舞台だった。






# by marcotabi | 2010-10-21 00:31 | 舞台 | Trackback | Comments(0)
「大奥」 「悪人」 「瞳の奥の秘密」
行った展覧会の感想もたくさん棚上げ状態。芝居にもあまり行っていないですし。
そんな中、あまり間を置かずに映画を観に行っているので、つらつらと感想を書いてみたいと思います。

まずは「大奥」。
原作漫画のファンなので、最初に映画化の話を聞いた時には、どうやって?誰が?と思ったものです。
まだ完結していない漫画、しかも時代劇で長い年月の経過があります。そのうえ設定がSF。
どうするのかと思っていたら、映画化されるのは1巻だけ。
つまり、水野・吉宗編のみ。
それなら納得です。
キャストについては、まぁ、普通(←えらそう、、)、と思っていました。
ただ、和久井映見さんだけはイメージ通り!そしてその期待は裏切られることなく、スクリーンの中に久通がいました。
この映画、男女逆転大奥ということで、男性に焦点をあてた宣伝をし過ぎではないでしょうか?
肝は女性だと思うのですが。
実際、吉宗、久通、越前を演じた女優陣が良かったのです。
政を成しながら、女性としての役目も果たさなければならない、そんな強さ、たおやかさがありました。(男性では三郎左がよかった)

これは、先に観た友人もいっていたことなのですが、とにかく演出がTVサイズなのです。
「のだめ」が映画になったら全然面白くなかったのと同じです。
江戸城とか、とってつけたような映像で笑っちゃったほどです。
大きく見せようとして、自ら小ささを晒してしまったような。

ストーリーは"割と"原作に忠実。
水野と鶴岡の対決は、演出が完コピかと思う程。

それにしてもですね、水野が垣添より小柄っていうのがどうにも納得いかないわけですよ。
演技が割に良いだけに、、、。

友人もいってましたが、"レディースデーなら"いいのでは?
またはTBSで放映されるのを待てばいいと思います。


続いて「悪人」

もともと吉田修一さんの小説が好きなので、原作は読んでいました。
吉田さんの小説はいくつか映像化されているので、映画化の話にもさほど驚きはありませんでしたが、期待もありませんでした。
以前ドラマ化された小説は、まるで別物に作り変えられていたりしたもので。
しかし今回は、吉田さんご自身が脚本で参加しているというので安心して観に行きました。

なぜ彼は人を殺したのか?
なぜ彼女は殺されなければならなかったのか?
なぜ彼女は彼と一緒にいたかったのか?
悪人とは誰の事なのか?

深津絵里さんも、妻夫木聡くんももちろん良かったです。
しかし何と言っても、満島ひかりちゃんと柄本明さんが素晴らしかったなぁ。
殺された娘との対面で、身体に掛けられた布から足先だけが出ているのを目に止めて、そっと掛け直すシーンや、雨の中の幽霊のシーンは、涙がでました。

大切な人がいない人間が多すぎる

このセリフは心にささります。

小説には、事件によって少なからず影響を受ける人たち(映画には登場しない人物)も描かれています。
その中のひとり、金子美保という女性にインスピレーションを得て、アーティストの束芋さんが、個展「断面の世代」に展示していたのが、『油断髪』という作品です。
新聞連載時の束芋さんによる挿絵をまとめた「惡人」という文庫もあります。


最後に、「瞳の奥の秘密」

25年前の事件に囚われている男性。
当時担当した、凄惨な殺人事件。
定年で退官したのを機にその事件に関する小説を書いている。
事件に関わった懐かしい人を訪ねていくうちにある事実に行き当たる。
過去と現在を行き来し、言葉の断片、ちょっとした仕草、視線が雄弁に語り、全てがカチッと繋がる、ミステリーの様な話です。
しかし、謎を解くというよりも、過去から解放されて未来を考えられるようになる主人公の変化が大切な気がする映画です。

先に観ていた友人は、ブエノスアイレスという地名が出るまでスペイン映画だと思って見ていたらしいのですが、確かにそんな雰囲気の映画かもしれないです。まぁ、どちらもスペイン語ですしね。

「パンズ・ラビリンス」の虚と実を行き来するような感じとか。
あと、個人的には「題名のない子守唄」に感じた渋い魅力を感じました。


実は昨日、「シングルマン」にいく予定だったのですが、ご一緒する方の都合がつかず、来週に延期です。観たら感想を書きたいです。

そうそう、「小さな村の小さなダンサー」も観たのですが、この世界情勢の中、気持ちがざわざわしていて、なかなか整理がつきません。
ただ、バレエシーンがたくさんあってそれは素直に楽しめました。








# by marcotabi | 2010-10-15 00:22 | 映画 | Trackback | Comments(0)

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